2012年2月27日月曜日

文房四宝の旅 -熊野筆-

先週の月曜日、書人の友人ふたりと文房四宝の旅 第2弾をしました。
第1弾は硯で山口県の日枝玉峯堂へ→赤間硯

今回は、筆の製作現場がある熊野へと。
最近、熊野の筆といえばなでしこジャパンの影響もあり、
一段と書道用より化粧筆の方が有名になってきましたが(^^;)

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

普段は見学できないのですが、縁あって魁榮堂 渡辺さんの紹介で
株式会社 晃祐堂の製作現場を見せていただけることになりました。
写真アップの許可をいただいたので、ご紹介したいと思います。

まず見せていただいたのは、小筆などを作る工程の一つ。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

右が芯となる毛です。左は完成した筆。

筆にコシを持たせるための芯となる毛の束にイタチの毛を巻いていきます。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

くるっと巻きつけて、糸で縛る。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

一見、簡単そうですが細かい作業ですし、均一に巻きつけるには熟練した技が必要ですね。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

同じ材料を使っても書き心地は格段に変わります。
友人いわく、同製品名で当たり外れがあるのだとか。

別の工程では、品質を統一にするために、毛を交ぜるにも手際や技が光ります。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

毛束を広げて、折りたたむことによって交ぜる。

トランプのシャッフルに似た感じがしました。
上手な人がカットすればバラバラに交ざるけど、下手な人がカットすれば交ざりきらない。。。

交ざった毛束から先の曲がったものなどをハンサシではねていきます。
(ハンサシとは小刀の柄がないようなもの)

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

どうやってはねているのかと不思議に思っていたら、ハンサシを刺し込んだときに
浮いているものを引っ張り出すと教えていただきました。力加減が難しそうですね~

ここで、きちんと取っておかないと書いているときにピロ~ンとはねた毛が出てくるのかな。

みなさん、もくもくと作業をされていたので、肩にきませんかと尋ねたら、
細かい作業なので目から疲れがくるとおっしゃられていました。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

このように毛束が広がった状態をヒラメといいます。
厚みの違いは毛の種類。
例えば、鹿の毛は植物のように中に空洞があるのでふくらみがあります。
猫の毛は丸っとしている玉のような形になるのだとか。

毛の配合、どの部分に使うかで筆に特徴がでます。
なので、設計図というかレシピかな、それを見本に同じような筆を作るということでした。

漢字用の筆もさらっと。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

ハンサシで毛をはねる以外にも、櫛で取ることもあります。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

様々なサイズがあり、筆の種類や状況などをみながら用途に合わせて使用します。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

わざわざ、収納ケースから出してくださいました。
目のかなり詰まったものや大きなもの微妙な差しかないようなもの、ホント色々ですね。

ほぼ出来上がりの状態。

EOS 60D“TAMRON AF18-270mm F3.5-6.3 Di II VC”

あとは、柄に差し込んでボンドで固定して完成かな。

乾燥させたりすることも必要なのですべての工程を見ることはできませんでしたが、
一つの筆にいろんな技が入っているのだなと感じました。

帰り際、ほんの少しですが、化粧筆の作業現場を部屋の隅から覗かせていただきました。
企業秘密もあるとのことで写真もないですけど、もっと細やかな作業のようです。

工場見学を終えたあと、魁榮堂 渡辺さんのお宅でお話を伺いました。

世の中の環境が変わっているので同じ品質の毛は手に入らなくなることもあるけど、
同じ書き心地の筆を作るのは職人の技でできると。
ただ、何年も使っている筆は墨によって育っているので同じものを作るのは難しく、
使い続けてれば同じようになりそうという予測したものしかできないということや、
墨汁には防腐剤や合成樹脂が入っているものがほとんどなので、
筆にはあまりよくないなどということを教えていただきました。

そうそう、いろんな種類の筆を用意して子どもたちに好きな筆を選ばせると
良質な筆を選ぶのだとか。
素直な子どもたちには作り手の心が通じるんですかね( ´艸`)

道具は作り手によって生まれ、使い手によって育っていくものだということを改めて思いました。

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